肉体的なものから目をそらせない、つまりからだを持った軍人たちが太平洋戦争にだっていたんだということである。先の長嶺氏*1はその好例。その対極にあるのが数十万の兵隊を餓死させた将帥たち。一方は抽象の極み、肉体をディナイアルする、もう一方はすきま風を一生懸命心配*2し、兵隊の便所と食うものばかり心配*3している。何だか軍人らしくない。けれど、そういう肉体を通じての日常生活というものをきちんとやっているということが、戦場においても生きる。
指揮官がそうなら、兵はよく戦う。
―計見一雄著 戦争する脳 p118 より

*1:第1師団歩兵第57連隊第2大隊長

*2:栗林中将にまつわるエピソードとして有名

*3:陣地構築の際、まず便所を作らせたという長嶺氏のエピソード。排泄場所の整備状況は士気に関わるのだそうです